感想しか書いてない

本・映画・その他見たもの読んだもののアウトプット用のブログです。ほぼ感想だけを載せる予定

読書

【感想】渡辺京二著 逝きし世の面影

この本は、著者が外国人から見た幕末明治初期の日本への情景をまとめたものであり、当時の日本が如何に現代日本とかけ離れた美しい光景と人々が見られたかというのが述べられている。当然、それは西洋人から見た色眼鏡であり、光の面しか見ていないものであ…

【感想】ミヒャエル・エンデ著 モモ

以前、知り合いが文明批評もこめて絶賛していたので読んで見る事にした。 確かに、文明批評が入ったファンタジーとしてはかなり素晴らしい作品だと思えた。ジブリあたりがアニメ化したら結構合いそうな感じはするが、宮崎駿はこの作品に対してどれくらい興味…

【感想】かなえ先生著 もしキミが、人を傷つけたなら、傷つけられたなら

この本は10代の子を対象に向けて、いじめや少年犯罪について描かれている。かなり平易にわかりやすく書かれており、全国の学校や図書館に置く価値はあると思う。ただ、社会情勢の変化が激しい昨今なので10年くらいは定期的に改訂する必要はあると感じた。 な…

【感想】スズキナオ著 深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと

今時珍しいサイト巡回をしていたら「深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと」という本を見つけた。紹介文を読んだかぎりでは何のことない事を如何にして楽しむかといった感じの本だった。 なんとなく気になって読むことにしたが、内容としては「大衆…

出生が悲惨すぎる主人公と聞いて読んでみた【木枯し紋次郎(一)赦免花は散った(感想)】

いつものようにtwiiterを覗いていたら、誰かが木枯らし紋次郎の事を言っていて、この主人公の事を虚無的な人物と紹介していて、wikipediaなどで調べてみたら、「間引かれそうになったのを姉に助けられるも、その姉も病気で死んでそれから流浪の無宿人になっ…

人間以外の世界の見え方【ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学(感想)】

本屋でたまたま新書を見てたらいくつか気になったのがあったので購入。その中の一冊がこの本だった。 ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書) 作者:本川 達雄 中央公論新社 Amazon 内容としては動物・植物含めた生物には大体なにかしらの法則と…

信仰がある人達の世界とはどういうものか【紀野一義著 生きるのが下手な人へ(感想)】

何故、この本を読もうと思ったというか手に取ったのかというと、twitterを覗いている時に紀野一義という太平洋戦争で一度の失敗で死に至る不発弾処理を1752回も行い成功して故郷へ生還するも、原爆で家族友人全てを無くすが、それで仏典の神髄を得た人がいる…

資本主義という宗教がどのように成り立ったか【解読ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(感想)】

現代ビジネスを読んでいたらこの記事を見かけて興味を持ったので読んでみた。 内容としてはウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を原著より分かりやすく説明したものである。ただそれでも自分の読解力では理解できなかった面は多かっ…

当時の中国は今でいうインドのような存在だったのか【上海游記(感想)】芥川龍之介

どういうわけか、ふと一昨年に芥川龍之介が上海に行った時の事をドラマ化したやつがあったなと思い出して、青空文庫にないかと探してみたらあったので読んでみた。 NHKのドラマの方はTVで放送せねばならぬのもあって、猥雑なもののあくまで絵になる光景が多…

悪女列伝として読むなら相当面白い【女帝 小池百合子(感想)】

ある意味、前回の記事からの続きとして「女帝 小池百合子(石井妙子著)」を読む。 とにかく、一人の悪女が成り上がるために親も何もかも利用して巻き込んでいく様は一つの物語としてかなり面白かった。個人的にはカイロ大学生から政治家になるまでの話が特…

学問を学ぶ場というより人脈と政治力をつける場という感じだった【”闘争と平和”の混沌 カイロ大学(感想)】

自分がこの本を読んだきっかけは以下のツイートを見かけて気になったからである。 「カイロ大学」と「女帝小池百合子」に中田先生の小池百合子評全部含めて3時間あれば読めるし、たぶんイメージするよりは一桁分厚い読書体験になります。これは読んだ方がい…

あらゆるコンテンツを作る際の参考になる気がする【完全教祖マニュアル(感想)】

人間というものは、物語を通してしか世界を理解出来ない。それが人間の可能性であり限界だと個人的に思っている。 そして、人間が作った最強の物語およびコンテンツが宗教だろう。 その宗教がどういう感じで作るかが分かれば多少は創作の手助けになるのでは…

 【ネタばれ有】市川は俺らのようで俺らではない【僕の心のヤバイやつ 1~3巻(感想)】

今、結構人気のある漫画で「僕の心のヤバイやつ」という漫画がある。 現在、マンガクロスにて連載中の漫画である。 mangacross.jp 僕の心のヤバイやつ 1 (少年チャンピオン・コミックス) 作者:桜井のりお 発売日: 2018/12/07 メディア: Kindle版 僕の心のヤ…

何故ラグビー日本代表はあそこまで努力できたのか【ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」(感想)】

自分がラグビー観戦するようになったのは、あの2015年の南ア戦の勝利でメディアが取り上げてからである。 個人的に運動神経が悪いのもあって見る時は見るもののそこまで熱心にスポーツ観戦をする事はなかった。 ただ、ラグビーは明らかにサッカーや野球とは…

キモくて金のないおっさんが孤独死した話がなぜここまで影響力をもったのか【ニコライゴーゴリ 外套(感想)】

この作品を最初に知ったのは、ネットでロシアアニメを漁っていた時にユーリノルシュテインの未完のアニメ作品だった。 www.youtube.com その時はとくに気にもしていなかったが、最近になって青空文庫にこの外套が載っていると知り、読んでみる事にした。 www…

時代と場所の隔たりがあっても人は似たような事をする【世界の辺境とハードボイルド室町時代(感想)】

この本は内戦状態のソマリアと室町社会が似ているのではないかというある翻訳者のツイートで始まった対談をまとめたものらしいので、いかにも21世紀らしい本である。層が違うためにいらぬ衝突ばかり繰り返しているtwitterにあって数少ない良い結果なのかも…

芸術版シグルイであるホーキーベカコンとその原作春琴抄を読んだ【感想】

ホーキーベカコンというのは関西での上等な鶯の鳴き声だそうだ。この漫画を知ったのはWeb広告で、お試しまで読んで少し気にはなっていたものの続きを読む事はなかった。 ただ、ホーキーベカコンという言葉の響きは妙に気になってなんと夢の中にまでこのワー…

時間の使い方はどうすりゃいいのか。雑誌PRESIDENTを読んだ雑感諸々

本屋でPRESIDENT20200131号の表紙が「すぐにやる人、グズな人」という実に手に取りやすい煽りタイトルだったので、つい立ち読みをしてしまった。 パラパラめくったら効率的な時間の使い方や練習の仕方みたいな事が社会の偉い人達が述べていたので、気になる…

歎異抄(100分de名著)を読んで宗教関連でいろいろ思ったこと【感想】

自分が歎異抄を知ったのは知り合いのおばはんがやたら高評価していたのがきっかけで、どういうものかと思い図書館にて手に取ってみたが、とりあえず阿弥陀様に帰依しなさいみたいな事しか書いてなかったので気持ちが萎えてしまいそれっきり読む事はなかった…

君は小松貴という虫キ〇ガイを知っているか【裏山の奇人:野にたゆたう博物学(感想)】

小松貴という昆虫学者がいる。 最初に知ったのは「裏山の奇人:野にたゆたう博物学」という新書である。 小松氏は他にも著作はあるが、私はこの本しか読んでいない。それでもこの本に書かれている著者のエピソードは強烈である。 昨今のアカデミックに言われ…

一言芳談というハードコアな仏教の本を読んだ

twitterをやっていたらこんなツイートを見かけた。 正法眼蔵は桁外れの書物と思うが、個人的には一言芳談が好き。荒野を血走った目をした男たちが悟りも何もなく、ただ抜身の剣をぶら下げていつ死んでも良いような覚悟で歩くような世界。 — Sz73 (@Sz73B) 20…