感想しか書いてない

本・映画・その他見たもの読んだもののアウトプット用のブログです。ほぼ感想だけを載せる予定

【感想】ソルジェニーツィン著 収容所群島(1) 1918-1956 文学的考察

 前から気になっていた本であったので、まずは6巻ある中の1巻を手に取ったが全巻読破するのは中々難儀だなと思える内容だった。書いてあることもドストエフスキーを読んでいる時みたいに急に文章の中で別の話をしたりしているので、よくわからん事も多かったがそれでも面白いと感じたのは良かった。文学的考察となっているからこんな感じになっているのかもしれないが、そっちの方は明るくないのでわからない。

 1巻は逮捕されて尋問され収容所にぶち込まれる事がどんな感じのものか書かれているが、ほぼほぼ「疑わしきは何から何までぶちこめ」といった感じだった。反革命勢力はまだしも、革命後ちょっと豊かになった農民も「富農」という事でぶちこまれ、とりしまる側もぶちこまれ、滅茶苦茶な命令を拒否した技官もぶちこまれ、しぶしぶその命令を聞いた技官も事故が起きたら責任をとらされてぶちこまれ、ひどい話は講演会で最初に拍手をやめた人もぶちこまれるのである。(皆、最初に拍手をやめたらそうなるのは分かっているので誰かが生贄になるまで必死に拍手していたそうである。最早ブラックジョークに見えてくる)

 作者は帝政時代にあった良い物や文化は全て破壊されたみたいな表現をしていたが、なんにしても行政側のむちゃくちゃぶりにはひたすら乾いた笑いしか出なかった。大粛清時代、安心できるのはベッドの中だけと言われるくらいに家族も信用できず、宗教も失墜しか社会での心の拠り所とは一体なんだったんだろう。作者は後日、信仰に目覚めているので、ああいう環境では隠れキリスタンのように神にすがるか、ウォッカをあおって早死にするかしかないのではないか。

 ただ、あんな腐敗した社会が70年くらい続いたのも権威主義がなせる技という事なんだろうか。

 個人的にだが、チェーカーのオーソドックスな拷問は不眠と塩辛い物を与えた後の水断ちだと知る。あと、シラミや南京虫が大量発生してる箱にとじこめるというのもあるらしい。どちらにしてもろくでもない。