この本は10代の子を対象に向けて、いじめや少年犯罪について描かれている。かなり平易にわかりやすく書かれており、全国の学校や図書館に置く価値はあると思う。ただ、社会情勢の変化が激しい昨今なので10年くらいは定期的に改訂する必要はあると感じた。
なぜいじめが起きるのか、なぜ犯罪がおきるのか、実はあなたもちょっとしたきっかけで犯罪者になる可能性がある。そういった日常における危険を回避するための情報も多数あった。大人も読んで損はないと思われる。
本作ではいじめを予防する話は載っておらず、そもそもいじめというのは「人間が集団の秩序や団結を維持するために、それらを害する異物を排除するための本能」と説明されているので、どちらかというといじめられたらどうするかという話がメインだった。そもそも10代向けに作られているのでそういう作りになるのだろう。
いじめの発動条件が集団内で発生フラストレーションを発散するための正当化や理由が見つかると(足が遅いやみんなに迷惑をかけているなど)起きやすいというのは知らなかった。またいじめられた場合、いかにして「傍観者」を減らして「仲裁者」や「通報者」を増やすかが大事とも書かれていた。
いじめに関する説明やその他青少年が関わりやすい犯罪の事が色々書かれているが、ざっくりまとめると
・いじめられて教師も親も頼りにならないなら法務省の人権擁護機関に頼れ
・SNSの告発にすぐ頼るのはリスクが高い(まずはマスコミに言えということだろうが、さんざん情報を漏らすTBSはよくないだろう)
・性産業や水商売をするなら覚悟を持て
・加害者になった場合は許されない事を前提に一生背負って生きることを覚悟しろ
といったところだろうか。
ほかにも少年院の話などいろいろあるが、基本的にかなえ先生のYoutubeチャンネルで大体説明されているので、活字が苦手な人はそっちを見た方がいいかもしれない。