感想しか書いてない

本・映画・その他見たもの読んだもののアウトプット用のブログです。ほぼ感想だけを載せる予定

【感想】ミヒャエル・エンデ著 モモ

以前、知り合いが文明批評もこめて絶賛していたので読んで見る事にした。

確かに、文明批評が入ったファンタジーとしてはかなり素晴らしい作品だと思えた。ジブリあたりがアニメ化したら結構合いそうな感じはするが、宮崎駿はこの作品に対してどれくらい興味を持っているのだろうか?

ただ、個人的にはモモやジジやベッポじいさんがある種理想化されたアウトサイダーだとも感じた。ファンタジーなのでこういう指摘は野暮だが、実際のモモやペッボおじさんみたいな存在は貧困と暴力に晒されているので、そんな気楽な生活はしていないと思う。

確かに現代社会は大人から子供まで暇な時間が奪われているが、それ以前の生活が素晴らしかったと言われると決してそうではないだろう。過酷な労働や家事が人々にのしかかっていたのだから。ただ、現代社会になくて以前の社会にあったものはそういう労働の時にやっていた生産性のない無駄なお喋りなのではないか。自分もかつて農業高校時代の実習や障碍者支援施設での実習をしていた際に、余計なお喋りをしていた時はかなり精神的負担も軽減され時間が経つのが早く感じたので、人類に必要なものではないのかという気はする。

生産性のない無駄なお喋りこそが孤立を予防し、精神衛生を改善するのではと勝手に思っている。

しかし、ジジは現代社会に生きていたら絶対にYoutuberになっていそうな雰囲気がある。そして、売れれば売れるほどこの作品のような状況になりそうだ。

実際にYoutuberはマグロのような生活をしている感じである。

 

余談だが、気になった台詞でベッポじいさんの長い道路を掃除する時の心づもりに「いちどに道路前部のことを考えてはいかん、わかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひとはきのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。」「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。」「ひょっと気が付いたときには、一歩一歩すすんできた道路が全部終わっとる。どうやってやりとげたかは、じぶんでもわからん。」

というのがある。これはまさに大きな課題を解決するのに細かく分割してそれだけを考えて次に移るというのに似ていると感じた。

togetter.com

そういえば、明らかにバービー人形とおぼしき玩具が出てきた文明批判の対象にされていたが、ミヒャエル・エンデが映画バービーを見たらなんと思うのだろう。(まぁ、今の子供はポケモンやらの共通する玩具がないと子供社会に入れないくらいに致命的な状況になってしまっているが)