この作品を最初に知ったのは、ネットでロシアアニメを漁っていた時にユーリノルシュテインの未完のアニメ作品だった。
その時はとくに気にもしていなかったが、最近になって青空文庫にこの外套が載っていると知り、読んでみる事にした。
話としては、今風に言えばキモくて金のないおっさんが運よく外套を新調できたものの強盗に奪われて、寒さに耐える事が出来ず病気で死んでしまい、幽霊になって外套をはがすようになるというただそれだけの話である。
この作品はドストエフスキーが「我々は皆ゴーゴリの外套から生まれた」というくらいロシア文学に影響を与えた作品と言われている。
ただ、自分の乏しい読解力ではただキモカネのさえない日常がだらだら続き、後半の方でちょっと良い事があったかなと思ったら、しょうもない顛末を迎えなんかよくわからん終わり方をしたなという事しか思えなかった。
まぁ馬鹿の考え休みに似たりという話もあるので、自分よりよっぽどロシア文学に詳しい人もいるだろうと考えネットを見てみたところ良い感じのブログがあった。
この人もこの作品をつまらないと評しているが、そんな作品がなぜロシア文学に影響を与えるまでいたったか説明されていたのが興味深かった。
端的に言えば当時はこれが斬新だったというのもあるが、なぜそれが斬新だったかというと、近代化の影響で今まで物語の主人公とされなかった庶民たちが活躍するようになったかららしい。
まぁそうなのかなという気もするが、この人はつまらないけど同時にスリリングだとも言っており、それはこのきもくて金のないおっさんの影響で最終的に町が躍ってしまうところだそうです。たしかにそれはそうかもしれない。
存在がないような粗末なものが世間をかき回すのだからそれはそれで面白いだろうし、そういうのを今の世界で書くことが出来たら良いなと思う。
その場合はロスジェネのフリーターがひょんな事で拳銃を手に入れるとかそんな感じの話になるのだろうか。