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カルチャーラジオ 日曜カルチャー「アイヌの文化と物語の世界」(1)視聴する。

あいうえお

NHKカルチャーラジオ 日曜カルチャー「アイヌの文化と物語の世界」(1)を視聴する。講師は千葉大学 中川裕名誉教授。

www.nhk.or.jp

アイヌの紹介として、あのゴールデンカムイがしょっぱなでとりあげられていたが、天下のNHKであの教育上良くない変態揃のゴールデンカムイが紹介されるというのも凄い時代になったものである。

そして、アイヌの文化といえばカムイだが、現代日本人からすればカムイというのは日本神話で語られるような人間より上位存在的な「神」みたいなものを想像するが、アイヌの中でのカムイはもっと範囲が広くて対等に近い存在らしい。

感覚的には自分達が存在する人工物含めたあらゆるものに魂が存在するといった感じで、それも例外はあれどお互い持ちつ持たれつという関係だそうだ。「カムイ」にいちばん近い日本語は「環境」だと中川教授は発言している。

カムイは人間に利益(毛皮やら魚やら)を与えて、人間はカムイに「感謝の祈り」(これを受け取ることでカムイの世界で格があがる。)とカムイに作れない人工物(代表的なのはお酒)を捧げることにより、お互い良好な関係を築いている。(アイヌの世界ではカムイと良い関係を築く事こそが良い人生を歩むために必要という事になっている。)

ただ、さきほどでもアイヌとカムイの関係は対等なので、川で人が溺れたりすると、その川のカムイにお礼も供物もしないぞと脅しをかけるのが面白いところである。

目にゴミが入った際のお祈りで「小さな柄杓流れろ、小さな樽流れろ」(柄杓や樽はアイヌ社会では酒を入れるものなので上等な存在になる)と言ったり、床に酒をこぼした時も「床のカムイが酒を欲しがったのだから拭いてやるな」と言ったりと些細な存在でも配慮するような思想があり、日本の付喪神なんかよりもずっと親しみやすい存在だと感じた。