私は2、3か月に一度くらいどうしても寿司を食いたくなる時がある。
それはスーパーの寿司や安いチェーン店では満たされない。
貧困層の身でありながら、それなりのネタが乗っている寿司を存分に取らないとこのモヤモヤは解消されないのである。
なので、私にはいきつけの回転寿司屋がある。そこは、値段の割にネタの質も保証されている(少なくとも私の舌ではそう判断できる)バランスの良い店なのでかなり有難い店だ。
しかし、今はコロナ禍真っ盛りなので、寿司屋に行くことはそう褒められたものではない。だが、私は寿司を食べたいのである。
そんなに寿司を食いたきゃ銀のさらでもとればいいのではと思ったが、このコロナ禍であの店がもしかしたら潰れるかもしれない行く事が出来るのは今のうちかもしれないと判断し、行く事にした。
店に入る前に身なりのいい老人も店に入ろうとしていたが、明らかに屁をこいている音を聞いてしまい中々良い洗礼を受けてしまった。
店の中に客はその老人と自分以外は誰もいない。
当然、寿司も回っていない。ほぼ普通の寿司屋と変わらない。
ただ、どうやら出前の注文が多そうな感じなので多少は利益が出ているのかもしれない。
なんにしても、ほとんど客がいない状態の店に入るのは、なんだか気まずい感じにもなったが、もう後には引く事はできない。覚悟を決めて寿司をとるしかない。
さばを食う。蝦蛄を食う。まぐろを食う。心なしかネタがいつもより良い感じがする。他の客もいないので出てくるのも早い。うまい。
コロナに苦しむ店もこれで少しは助かるだろうと思い、注文したいものは大体注文した。
この非常時でもうまいものはうまい。仮にこれでコロナにかかって死んだとしてもそれほど後悔する事はないだろう。
ただ、頼んだなみだ巻でむせてしまい、コロナと誤解されないか少し心配になったが、まぁそれくらいしかやばい事は起きなかった。
兎に角、サバを鉄火巻きがうまかったのでそれぞれ二貫も頼んでしまった。
とりあえずこれが最後の晩餐になるかどうかは数日後のお楽しみだ。